ayaさん、thank you very much! ありがとうございます❣
This is the Japanese translation of The Myths of Candy Candy Final Story (Part 4). For your interest, please read my introduction in Another translation of ayaさん!
話は変わって、Alexが検討したい別の話題についてご紹介したいと思います — キャンディの家の書斎にあるシェークスピア全集についてです。ここで留意すべきことは、このコレクションはさておき、キャンディが他にも革表紙の書籍があると言及していることです。イギリス文学やフランス文学、医学書といった書籍です。Alexはシェークスピアへの言及が暗示するものはテリィ以外にいないという神話を覆したいと思っています。
まずAlexはシェークスピアが日本で尊敬され、日本文化に深い影響を与えていると述べています。なぜなら「このような高品質な戯曲の要素は、遠い昔から日本文化自体に本来備わっている側面だからです」 偉大な日本の映画監督・黒澤明による壮大な傑作『乱』(シェークスピアの戯曲『リア王』を暗示)がその一例です。
さらにAlexによれば名木田氏自身が青年期後期に舞台女優だったといいます。彼女は劇団四季で仕事をしていました。“しき”とは“四つの季節”のことです。「時の経過と急速に巡る四季による変化に重きを置いた」演劇。「季節、時、変化が名木田氏の文芸作品で決定的な役割を果たします」 Alexは述べています。
シェークスピア作品にとても詳しいAlexは、ほとんどのキャンディ・キャンディおよびCCFSの登場人物が、シェークスピアとその登場人物とある種の類似点やつながりを持っていると考えます。イライザでさえも。彼女は『オセロ』のイアーゴーと一番良く似ています。特に「彼女の心性のあの説明しがたい根本的な‘邪悪さ’に関して言えば」 キャンディはどうでしょう? 彼女はすぐにジュリエットだと想像できますが、『十二夜』のヴァイオラ(シザーリオ)もそうです(メイフェスティバルでの男装)。テリィはロミオ、マクベス、ハムレットもしくはタイタス・アンドロニカス(彼の自己破壊的な時期)でさえあるかもしれません。
ステア、彼の名前アリステアは古代ギリシア語起源の‘人間/人間性の擁護者’を表すアレクサンダーから来ているゲール語です。ステアはたやすく『リチャード二世』劇のリチャード二世だと分かりそうです。
スザナ・マーロウもジュリエットかもしれません。彼女はシェークスピアの親友、クリストファー・マーロウと同じ名字でした。Alexによれば、彼が2、3の戯曲でシェークスピアの共同執筆者でもあったと多くの研究者が主張しています。スザナはCCFSで劇作家として働いてもいましたね。それだけではありません。スザナもクリストファー・マーロウもその意欲的な人生を若くして悲劇的に終わらせました。クリストファー・マーロウは29歳で刺し殺され、スザナは20歳にならないうちに、悲劇的な事故の直後に脚を切断しました。
ストラスフォード劇団の団長であり名声ある役者でもあるロバート・ハサウェイ。彼の名字はウィリアム・シェークスピアの妻アン・ハサウェイから来ています。
アルバートはどうでしょうか? Alexはアルバートは『リチャード三世』劇のリチャード三世、もしくは『ヘンリー八世』劇のヘンリー八世でありうると考えます。それだけではなく、彼女は付け加えています。「アルバートはシェークスピア自身かもしれません。彼はキャンディのメイフェスティバルでの男装の一幕を‘演出‘し、セントポール学院で、そしてのちにロックスタウンでテリィとキャンディの橋渡しをした人物だからです。シェークスピア自身に近い人物がいたとしたら(演出家としてのみでなく多種多様な役を演じた役者として)、それは間違いなくアルバートです!」
それでもなおシェークスピア全集への言及が暗示するのはテリィで、その他の人物ではないということに仮に同意したとしても、キャンディが蔵書についてもっと詳しく述べていることを忘れないでください。書斎の壁は書籍で埋まっています。医学の本か何冊か、そして多くがイギリス文学とフランス文学に違いありません。医学に関する書籍を持っているのは他でもないキャンディであると言う人もいるかもしれません。しかしAlexは彼の医学と生物学の広範な知識から、アルバートも示唆していると考えます。
それでもまだシェークスピアの本を持っているのはテリィしかいないし、医学の本を持っているのはキャンディしかいないと主張する人たちもいるかもしれません。けれども非常に多くのイギリス文学とフランス文学の本はどうでしょう? テリィもキャンディもアルバートのような立派な教育を受けてはいないことを思い出してください。
自身が弁護士であるAlexは、ラテン語と古代ギリシャ語だけでなく、イギリス文学とフランス文学の包括的で徹底した教育を受けたため、彼女はそれらの文学の本は、その広範な法学と経営学の学術的教育からしてアルバートのものであると考えます。「彼はシェークスピアについても知る必要があるでしょう。彼の行動や実践から判断すると、彼は間違いなく嫌というほど知っていました」
アルバートの教育に関する情報がCCFSのところどころにあります。Alexはあのように強力で有力な一族の総長であるアルバートが最上級の教育を受けることについて反論する人は誰もいないだろうと考えます。エピローグのキャンディへの手紙にもとづくと、私達読者は彼がごく若くしてどのような徹底的訓練と個人指導に耐えただろうかを思い描くことができます。
ちなみにAlexは、基礎教育のある普通の裕福な実業家でも、1930年代半ばのイングランド南西地方でのキャンディのパートナーにピッタリくると解説しています。彼女は1930年代半ばの南イングランドでの投資家に関して言えば、重要だったのはお金で、教育ではなかったと述べています。そこは学歴に関わりなく、多くの北アメリカの企業家であふれ返っていました。
それでもやはりCCFSには19世紀末から20世紀初頭の裕福な学生の学校教育と高等教育に関して2~3の実例があります。労働者階級や下流中産階級の学生にはほとんど受ける機会がなかった高等教育を、上流中産階級や裕福な学生は受けていました。「残念ながら、現代でも質の高い教育を受ける機会へのこのような社会的差別が存在します」 Alexは述べています。
CCFSを読むと、アードレー一族がどのように家庭教師による集中的個人指導を受けていたのかが分かります。レイクウッドで夏休み中にイライザがアンソニーたちとともに勉強するために合流しましたね? 彼女は物理とかラテン語の授業のようなことを言っていませんでしたか? エルロイ大おばさまは、たとえ夏休みでも若い世代が一日中ダラダラしていることを許さなそうです。
Alexはこう考えています。「もしラガン家やコーンウェル家、ブラウン家の者が教育に関して厳しく監督され特訓を受けていたとしたら、イングランドの名門大学に行く前ですらアルバートがどれだけ集中して上質な教育を受けていたかを容易に理解できます」
さらに、エピローグのアルバートのキャンディへの手紙の一つで、昔、何が彼を追いつめて家出するに至ったかを説明しています。彼はいかに彼が常に自室にこもって勉強しなければならなかったか語っています。他の子供たちやティーンエージャー(彼と同年代の若者たち)にははるかに多くの自由があったのに。まあ無理もないことですね。やはりアルバートは将来総長になるわけで、彼の教育は可能な限り最高級のものになるでしょう(ラガン家やコーンウェル家、ブラウン家より間違いなくはるかに高品質)。
彼はすでに10代のころには法学と経営学の特訓を受けていました。どうやらこれはアルバートが前述の名門大学への入学試験の準備をしていたからのようです(今日A-levels/SAT/GRE/GMATなどと呼ばれるような試験)…。
Alexは歴史上、社会学上よく知られている事実をもとにして推測しています。「とてつもなく裕福で大きな力を持つ有力者であるアルバートが行くのはイギリスの名門大学だけでしょう。ケンブリッジやオックスフォード(もしかしたらロンドン大学クイーン・メアリー)です」 今日でもおそらくアメリカかイギリスでは、例えば政治家や財界の大物、財務官僚などの裕福な人々は一流大学に通っています。
Alexは名木田氏がキャンディとアルバートの年齢差にさらに3年加えると決めた理由としてつじつまが合うと考えます。キャンディが丘の上の王子(彼は17歳でした)としてのアルバートに初めて会ってから、レイクウッドで再会するまでに7年が経過していたとAlexは判断しました。彼は24歳くらいでした。この7年にはアルバートが大学で学んでいた年月を明確にする意味があります。彼は医学と法学、もしくは法学と経営学を学んだかもしれません。高等教育機関からダブルメジャー学位を取得するのに5年から7年間(ケンブリッジやオックスフォードで6~7年間)必要でしょう。さらにアルバートが(ウィリアム大おじさまとして)キャンディにイギリスの一流寄宿学校へ行くよう強く勧めた様は、彼の高等教育への強い関心について雄弁に語っています。
ということで、Alexはこう結論を下しました。「1930年代半ばのイングランド南西地方でのキャンディのパートナーにテリィを‘無理やり’当てはめようとしても、名木田氏がCCFSで確固として規定した設定(時代と場所)にはその‘方程式’が当てはまりません」
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この後、名木田先生が原作を提供したマンガの一つ「ミリアム・ブルーの湖」(1975年青池保子さん作画)、赤毛のアンのギルバートに関する話題などが続いていますが、翻訳はここまでとなります。興味のある方は英文のオリジナル版をご覧ください。aya